診療科の特色
消化器、乳腺・内分泌、呼吸器領域がんに対する化学療法、放射線治療、外科治療を組み合わせた集学的治療(あきらめない治療)
診療内容
消化器、乳腺・内分泌、呼吸器領域の外科、および一般外科を中心に診療を行っています。痔核、鼠径ヘルニアや虫垂炎等の一般外科から乳がん、甲状腺がん、進行直腸がん、肺がん、肝胆膵高難度手術や形成外科医と協同で血行再建を伴う食道がん、胆膵領域がん手術にいたるまで、日本外科学会はもとより、サブスペシャリティ領域の認定医・専門医取得のための症例数・内容を十分満たしています。
令和2年度まで所属していた浜野医師は肝胆膵高度技能専門医を取得いたしました。各領域の悪性疾患に対しては化学療法、ラジオ波治療、放射線治療を駆使し腫瘍内科・放射線科と連携し、Stage IVであっても外科治療のタイミングを図りながら予後の延長に努力しています。一方鏡視下手術症例も増加しており、低侵襲治療、機能温存手術等患者の視点に立った治療の選択に心がけています。
診療実績
手術症例数は (図1)のように年間1200件前後を維持し、コロナ禍ではありましたが手術件数は増加し過去最高件数となりました。日本外科学会、日本消化器外科学会、日本呼吸器外科学会の修練施設にも認定されていて、サブスペシャリティを目指す若手外科医に魅力ある内容です。157例(約11%)が緊急手術であり地域医療に貢献しています。また、全身麻酔手術の65%以上が鏡視下手術となっています。
(図1)過去10年の手術症例数
a)肝胆膵疾患
肝胆膵疾患外科治療に関しては、日本肝胆膵外科学会高度技能医制度に基づく認定修練施設(A)を維持(高難度手術年間50例以上)しています。また、2020年1月から日本膵臓学会認定指導施設に認定されました。高度技能指導医3名、高度技能専門医1名、修練医名2名で腹腔鏡下手術から血行再建を伴う手術まで対応しています。肝切除数は近年減少傾向にありますがコロナ禍においても80例を維持し(図2)、5割の症例を鏡視下に施行しました。また膵切除数は50例を維持しています(図3)。最近ではICG蛍光を利用して腹腔鏡下の区域の染色(positive stain)と阻血域の非染色(negative stain)を活用して切除領域の特定に寄与しています。
(図2)過去10年の肝切除推移
(図3)過去10年の膵切除推移
a-1 肝細胞がん: 肝がん治療ガイドラインに基づき、切除のみならず熱凝固療法、放射線療法、化学療法を組み合わせた集学的治療を展開し、進行病変に対しても治療にあたっています。
a-2 胆道・膵がん: 近年増加傾向にあり、当院でも症例数は増加しています(図3)。血管浸潤症例に対して形成外科医と協同で動脈再建を行い、根治術を心掛けています。胆道癌・膵癌の累積生存率を図5,6に示します。初診時切除不能症例では化学療法を行い、手術可能となる症例も増え、ステージIVでも19.2%の5年生存率となっております(図6,7)。
a-3 転移性肝がん: 各領域がんの肝転移に対して、切除可能症例は肝切除を行います。集学的治療の一環として化学療法後、切除不能から可能となるコンバージョン手術や、熱凝固療法による補完療法を行っています。
(図4)肝細胞癌ステージ別生存率
(図5)胆道癌ステージ別生存率(肝内胆管癌を除く)
a-4 熱凝固療法: 平成30年から内科と合同で行い、年間100例以上を維持しています(図8)。経皮では困難な症例に対して腹腔鏡下アプローチや症例によっては肝切除と併用し、経皮アプローチ以外の熱凝固療法症例が多いのも当院の特徴です。デバイスも従来のモノポーラー型、可変式モノポーラー型、複数本穿刺して広範囲を焼灼するバイポーラー型、ラジオ波よりも血流の影響を受けず広範囲に焼灼可能な新型マイクロ波を導入し、症例に応じて選択しています。転移性肝癌に対して局所再発の解析から腫瘍径18mm以下が良い適応です(図9)。
(図6)通常型膵癌切除例の累積生存率(非治癒切除例を含む)
(図7)初診時切除可能・境界・不能膵癌切除例の累積生存率
a-5 胆嚢・胆道結石: 急性胆道炎に対してはガイドラインに則りドレナージ先行もしくは緊急手術を行います。胆管結石合併例では、当院内視鏡グループによる内視鏡的結石除去を先行し、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。
(図8)過去10年の経皮的肝熱凝固療法推移
(図9)大腸癌肝転移に対する熱凝固療法の局所再発に関わる因子
熱凝固療法後6か月以上観察可能であった大腸癌肝転移51例、97結節(2003年~2017年)
b)大腸・肛門疾患
大腸がんに対する集学的治療方針
近年、大腸癌は増加傾向にありますが、コロナ禍でも手術件数は増加傾向にあります(図10)。
当院の大腸外科の特徴は、内肛門括約筋切除術を含めた肛門温存手術を、局所進行下部直腸がんにも導入していることです。術前化学放射線療法を併用することで肛門温存手術でもマイルズ手術と遜色ない局所再発率を報告してきました。直腸癌T3またはN1に対して術前短期化学放射線治療を行い良好な成績を得(図11)、T4またはN2以上に対して術前短期化学放射線治療+全身化学療法(TNT療法)と術前化学放射線療法(CRT療法)との比較でTNT療法の方が予後良好であることを報告してきました(図12)。はまた、J-pouchを作製や薬剤による排便コントロールで、約9割の患者様に肛門温存手術を行ったことに満足していただいています。また岡本医師により排便機能障害外来を実施しており、脱、痔核痔瘻、仙骨神経刺激装置植込術の症例数が増加しています。
(図10)過去10年の大腸がん手術症例
(図11)直腸癌術前短期化学放射線治療成績
(図12)直腸癌TNT療法群とCRT療法群の成績
c) 上部消化管疾患
食道がん、胃がん合わせて40-45例の手術件数を維持しています(図13)。食道胃接合部がんに対しては噴門側胃切除術を行い、食道残胃吻合で逆流防止弁の構造を作成する(観音開き法)ことで良好な成績を得ています(昨年6例)。食道再建において形成外科と共同で血行再建を、内科と共同鏡視下手術(LECS)も導入しています。ステージ別累積生存率ではII以上の進行癌において他の大規模データより良好です(図14)。
また、消化管吻合再建の際はICG蛍光を用いて血流を確認し、縫合不全の回避に寄与しています。
(図13)過去10年の食道・胃がん手術症例
(図14)胃がん手術症例ステージ別累積生存率
d)学会活動等
平成30年度 | 令和1年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | |
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発表 | 70 | 75 | 44 | 37 | 62 |
座長/司会 | 13 | 10 | 14 | 19 | 13 |
講演 | 12 | 13 | 6 | 8 | 6 |
論文 | 15 | 5 | 14 | 10 | 5 |
医師
理事長
山中 若樹
「親切で信頼される医療」を理念としています。当院には休日・夜間お困りの時には24時間365日救急医療に対応した明和ER、病気の早期発見を目的とした明和健診センターがあります。中規模病院の強みを生かせて、診療科の間の垣根を取り払い小回りの利く診療を目指しています。
専門分野 | 消化器、肝胆膵領域 |
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資格認定・専門医 | 医学博士 日本外科学会 指導医・専門医 日本消化器病学会 指導医・専門医 日本肝臓学会 指導医・専門医 日本消化器外科学会 指導医・専門医 消化器がん外科治療認定医 日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医 日本医師会認定産業医 Best Doctors(2020-2021) 緩和ケア研修会 修了 |
院長
外科下部消化管担当部長
化学療法センター
栁 秀憲
常に最先端の診療を行うべく、外来治療、集学的治療(手術・抗がん剤治療・放射線治療)に取り組んでいます。
患者様・ご家族と一緒になって考えて最良の治療をご提供できるよう日々の診療を行っています。
専門分野 | 消化器、下部消化管 |
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資格認定・専門医 | 医学博士 日本外科学会 指導医・専門医 日本消化器病学会 専門医 日本消化器外科学会 指導医・専門医 消化器がん外科治療認定医 日本大腸肛門病学会 指導医・専門医 日本がん治療認定機構 認定医 米国臨床腫瘍学会 ASCO,active member Best Doctors(2020-2021) 緩和ケア研修会 修了 |
副院長
外科診療部長
外科主任部長
明和ER副センター長
相原 司
患者様の痛みがわかる外科医でありたいと思います。
専門分野 | 消化器(肝胆膵) |
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資格認定・専門医 | 医学博士 日本外科学会 専門医 日本消化器病学会 専門医 日本肝臓学会 専門医 日本消化器外科学会指導医・ 専門医・認定医 消化器がん外科治療認定医 日本消化器内視鏡学会 専門医 日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医 日本がん治療認定機構認定医 日本静脈経腸栄養学会認定医 緩和ケア研修会 修了 |
外科肝胆膵担当部長
生田 真一
より一層地域の皆様のお役にたてるよう頑張りますので、よろしくお願い致します。
専門分野 | 消化器(肝胆膵) |
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資格認定・専門医 | 医学博士 日本外科学会 指導医・専門医・認定医 日本消化器病学会 指導医・専門医 日本消化器内視鏡学会 指導医・専門医 日本肝臓学会 専門医 日本消化器外科学会 指導医・専門医 消化器がん外科治療認定医 日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医 日本がん治療認定機構認定医 日本外科感染症学会 教育医・認定医・認定ICD 緩和ケア研修会 修了 |
内視鏡外科・上部消化管担当部長
産婦人科特任技術顧問
仲本 嘉彦
専門分野 | 消化器 |
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資格認定・専門医 | 神戸大学医学部臨床教授 日本外科学会 指導医・専門医・認定医 日本消化器外科学会 指導医・専門医 消化器がん外科治療認定医 日本内視鏡外科学会技術認定取得者(消化器・一般外科) 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本大腸肛門病学会 専門医 日本乳癌学会認定医 hinotori™ Surgical Robot System Cockpit Surgeon マンモグラフィー読影資格 死体解剖資格認定 TNT Certificate of Achievement 緩和ケア研修会 修了 |
外科医長
岡本 亮
地域の皆様が安心して掛かって頂ける診療を行いたいと思います。
よろしくお願い申し上げます。
専門分野 | 消化器、下部消化管 |
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資格認定・専門医 | 日本外科学会 指導医・専門医 日本消化器病学会 指導医・専門医 日本消化器外科学会 専門医 日本大腸肛門病学会 指導医・専門医 日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(消化器・一般外科) 日本臨床肛門病学会 臨床肛門病 技能指導医 日本病態栄養学会 専門医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 公認心理師 緩和ケア研修会 修了 |
外科医長
中島 隆善
信頼される医療の実践を心がけて参ります。
専門分野 | 消化器、肝胆膵 |
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資格認定・専門医 | 医学博士 日本外科学会 指導医・専門医 日本消化器病学会 指導医・専門医 日本消化器外科学会 指導医・専門医 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医 日本消化器内視鏡学会 専門医 日本内視鏡外科学会技術認定取得者(消化器・一般外科)・評議員 日本肝胆膵外科学会 評議員・高度技能専門医 日本大腸肛門病学会 専門医 日本肝臓学会 指導医・専門医 日本膵臓学会 認定指導医 日本がん治療認定機構認定医 日本外科感染症学会 認定ICD・外科周術期感染管理教育医・認定医 緩和ケア研修会 修了 |
外科医員
一瀬 規子
親身な診療を心がけ、安心な医療ができるよう努めます。
専門分野 | 消化器全般 |
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資格認定・専門医 | 医学博士 日本外科学会 専門医 日本消化器外科学会 専門医 日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(消化器・一般外科) マンモグラフィ検診精度管理中央委員会読影試験評価 読影医 |
外科医員
藤川 正隆
専門分野 | 消化器、肝胆膵 |
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資格認定・専門医 | 医学博士 日本外科学会 専門医 日本消化器外科学会 専門医 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医 日本内視鏡外科学会技術認定医(胃) 日本がん治療認定医機構認定医 緩和ケア研修会 修了 |
外科医員
古出 隆大
資格認定・専門医 | 日本外科学会外科 専門医 マンモグラフィ読影医 |
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外科医員・小児外科医員
長野 心太
専門分野 | 小児外科 |
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資格認定・専門医 | 日本外科学会 専門医 日本小児外科学会 専門医 日本消化器外科学会 専門医 日本消化器外科学会 消化器がん治療認定医 日本腹部救急医学会 腹部救急認定医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 日本小児外科学会近畿地方会評議員 緩和ケア研修会修了 |
外科医員
総合診療部 救急科外科系担当
松木 豪志
患者さんに寄り添った医療を目指します。
専門分野 | 消化器全般 |
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資格認定・専門医 | 日本外科学会 専門医 日本消化器病学会 専門医 日本消化器外科学会 専門医 消化器がん外科治療認定医 緩和ケア研修会 修了 |
外科医師
生田 理紗
外科医師
吉野 力丸
休診・代診
11月22日 | 休診 午前 生田 |
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12月6日 | 休診 午前 一瀬 |
12月6日 | 休診 午後 藤川 |
1月16日 | 休診 終日 長野 |
3月27日 | 休診 午後 岡本 |